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ただいま、バングラデシュ

2月9日-26日、日本に一時帰国をしておりました。
先々では、久しぶりに色んな人と出会うことができて素敵な滞在になりました。
改めて、出会ってくれたみなさんに感謝でいっぱいです!ありがとうございました!

ということで、折り返しも終わり、残り半年バングラでがんばろうと思います。


さてさて、およそ20日ぶりのバングラはというと大きく変わっておりました。

中でも政治情勢です。
日本に帰る前からも事のはじまりは起きていたのですが、さらに悪化し
バングラも安全な場所とは言い難い、治安状況に一遍してしまいました。

遡ること42年前、バングラデシュはパキスタンから独立を果たしました。
当時流れた血は、わずか数ヶ月で300万人と世界にも稀に見ない、戦いとなっています。
その時に、現イスラム原理主義者による政党JI(ジャマティ・イスラム)の指揮者達がバングラ人の知識人、女性や子供を無差別に暗殺した事実があります。独立後、死刑判決を遂行しようと何度も議論がなされましたが、この問題を今でも引きずっております。

現政権政党であるAL(アワミリーグ)の首相は、ベンガルの父と言われているボンゴ・ボンドゥーの血族であり、政治の在り方もイスラムベースではなく、どっちかというとリベラルなバングラデシュ人よりの考え方であります。2006年の選挙でもだんとつで議席数を獲得し、今もなお50%以上の支持をえています。
今年の年末に選挙を控えているALは、解散前に大きくマニュフェストに掲げていた42年前に遂行されるはずだった死刑判決の裁判を行おうとしていました。

それに対して、野党であるBNP(バングラデシュ民族主義党=どちらかというとイスラム国ベースの政党)と連立政権であるJIが猛烈な反対の意を込めて、1月中旬ごろからホルタル(反政府活動)やデモが絶えない状況になっていました。

そして、2月から裁判がはじまった中、2月末の独立戦争戦犯裁判の3回目のJI幹部メンバーの死刑判決が出て以来、僅か1週間で全力各地で暴力行為が勃発し、80名程度の死者がでています。私はちょうどその1週間の途中に帰ってきました。

あの人懐っこくて愛想の良いバングラデシュの人々が何故ここまで争うのでしょう。

主にぶつかりあっているのは、警察と野党側の過激派ですが銃撃戦で抑え込むまですべきなのか。
BNPがロケットランチャーを隠しもっていたのには、驚いたが巻き添えを喰らう無垢な市民に対してALはどう思っているのか。

過激派も42年前の自分達の過ちをどうして受け入れられないのか、今さらバスを燃やしたり、投石をしたりで、世間を脅かしても現状は変わらないのに。1回のホルタルで経済的効果だけみてもどれだけの損失があるのか?1度でおよそ数100億円、損失があるとか…。

果たして、そこまでしてこの国の市民がぶつかり合う意味ってなんなのでしょう。

常に頭の中でグルグル考えてしまいますが
あの2万人が集まるデモの中に身をうずめた時に、何かを感じるのだろう。

ただただ暴れるのではなく、座り込みをして、道路規制をかけてまで、ただただスローガンをうたう
謙虚なままで、純粋にこれからの未来を望んで、自然と人が集まり、希望に向かっていく

市民一人一人が自分自身の国のことを考えるきっかけになり
国家の在り方を問い、本当の正義へと向かっている最中なんだと思う。

どこの国でも国家の癌細胞ともいえる、摘出すべき問題があるはずだ
この国の人たちは、しっかりと向き合っている。そんな瞬間に立ち会えているのは、すごく素敵なことだと個人的に感じている。

政教分離という根深い問題がまだまだ残る国。残された評決や死刑執行等を踏まえ当面の治安の見通しは厳しい反面、これからこの国がどう変わっていくか、どう発展を遂げていくか本当に楽しみである。

by laughmonkey | 2013-03-05 04:41  

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